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(注)「ブーメラン投資戦法」とは、シグマインベストメントスクール学長の考案による、ペアトレード手法の名称です。 

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エベレストに賭け、相場に生きた男 中島寛の物語(第6回/全20回) ~シグマベイスキャピタル清水正俊~

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中島は10数年間エコノミストとして経済・産業調査を行った後、FXディーリングの世界(資金為替部長)に転身することになった。この異動は、前任者で同期の小林靖弘(後年、副頭取)と、やはり同期で彼を長銀に誘った平尾光司(後年、副頭取)の推挙によるものと聞く。中島49歳の転身であった。

いきなり異質な業務への人事異動を中島がどう感じたか知る由もないが、その後の彼の行動が全てを物語っている気がしている。前任の小林から業務引き継ぎを終えて彼がまず行ったことは、机の大きさほどの大紙面に相場の移動平均チャートを自作したことであった。そのチャートを机上一面に広げ覆いかぶさりながら、相場を読む姿が毎朝の光景となるまで日数は要しなかった。   

後日彼から根子岳の山スキーに誘われたことがある。事前に、地図上でルート探索をしているのを見かけたが、相場チャートを読むときの姿勢がこれと全く同じであることに気付いた。体力・気力に自信はあったが、山頂付近の新雪は思いのほか手強く、未経験の私は当然散々な目に合った。

中島は最後まで、罫線は移動平均チャートしか使わなかった。相場の読みに関して、最終的にはチャートで相場の大局を掴むことに全力を注いでいるように見えた。もちろん、チャート上にはファンダメンタル分析(世界の政治・経済・金融政策等基礎的条件面からの分析)関連はもとより、「22:14、30本ドル買い」といったコメントまで無数に、かつ几帳面に記入されていた。これは、「チャート上のこの場所で、22時14分に他行が3000万ドルを売ってきたので、これを買った」という意味である。

当時、海外銀行との夜間取引では、テレックスによることがほとんどで、相手銀行から"Hi-hi,This is 〇〇Bank,¥/$ SPOT PL"と呼び出される。PLはPleaseの略である。”Hi-hi, 261.50-60"と応じると、"30M at 50"と返ってくる。"1ドル=261円50銭で3000万ドル売りたい"という意味である。"O.K. Done"と応じ取引成立となるのが通例である。取引に応じず、"No,thank you"と言わないのが暗黙の了解となっている。当時の円ドル相場は1ドル250~260円くらいであった。特に必要がないドルを買ったわけなので、このドルを買った値段以上で他行に売り捌かねばならない。相場変動の読みや感に加え、運・不運に左右される面も大きい。ただこのような世界だからこそ、流動性の大きさが保証される市場となっているとも言える。あるとき、海外の銀行からテレックスで" How about TDL?"と入電した。"What・・・?"と返事を打ち始めたところ、相手から東京ディズニーランドのことだと告げられ、しまったと思った。開園間もないころで、まだTDLという表現が日本で浸透する以前の話である。

こうして新業務に就いた中島であったが、相変わらず毎日出勤前10キロのジョギングは続けていた。20キロの日もあったそうである。10キロ40分のペースと聞いているので、ハーフマラソンと言った方が適切であったろう。時には仕事終了後、夕闇の中を皇居1周することもあり、私も誘いに乗ったことがある。職場の応接室でジョギングウエアに着替えビルの裏口から出て、隣の三井物産本社ビルの人工池で一列に遊泳するカルガモ親子を見る。そして片側四車線の内堀通りを渡り、皇 居の内堀側に沿ってスタートである。このような場合、中島は私のペースに合わせてくれた。多分半分以下のスピードであったろう。当時は皇居周りのジョギング人口も少なく、走り終わった後、中島の友人が毎日新聞社にいたおかげで、本社ビルの地下にあった社員用大風呂で汗を流すことが出来た。新聞の印刷関係者には必須の施設であり、中島は彼らとはすでに顔なじみのようであった。こうしてまた職場に戻り、すでに朝を迎えているロンドン支店や欧州の銀行筋と夜間のトレードが始まるが、心地よい脱力感と爽快感があった。

一風呂浴びて、その後一杯ということもよくあった。飲む場所は決まって新川の居酒屋だった。大学時代、中島の後輩だったKがオーナーだった。Kは一橋柔道部の主将で、新日鉄に就職したが、数年で退職しこの店を開いた。40~50年ほど昔の話である。当時は、一橋の山岳部と柔道部のたまり場となっていた。柔道部だった私もよく顔を出した。中島の山仲間だった植村直己や小西政継も参加してくれた。オーナーはとっくに代っているが、中島やKがいるようで、私は今でも時々飲みに行く。

文中敬称略 つづく

 

<シグマからのおしらせ>

 本ブログでは以下の連載が順次、交互並行でスタートしています。今後ともご期待ください。

(1)エベレストに賭け、相場に生きた男 中島寛の物語(全20回)
(2)金融マーケット今昔物語(全20回)
(3)ディーラーたちの栄光と挫折(全20回)
(4)年金引き潮時代の資金運用初級講座(全20回)
(5)数字に強い投資家を目指す初級講座(全20回)
(6)ブーメラン投資初級講座(全20回)
(7)ブーメラン投資中・上級講座(全20回)
(8)イベントドリブン投資初級講座:いまでしょ、この銘柄!(全20回)
(9)IPO・新興市場銘柄投資初級講座(全20回)
(10)FX投資初級講座(全20回)
(11)数式を使わない! オプション投資初級講座(全20回)
(12)シグマ個人投資家スクール分校開業・経営講座(全20回)

<執筆者紹介>

清水 正俊  http://www.sigmabase.co.jp/index/lecturer.html

シグマベイスキャピタル株式会社(SBCC)代表取締役社長

シグマインベストメントスクール(SIS)学長兼シグマ個人投資家スクール(SIIS)学長 

金融理論専門の教育研修・コンサルティング・出版のシグマベイスキャピタル株式会社

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