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(注)「ブーメラン投資戦法」とは、シグマインベストメントスクール学長の考案による、ペアトレード手法の名称です。 

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バブルを生む欲望と焦り  田渕直也のトレーディング・テキストブック(16)

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第16回 バブルを生む欲望と焦り


バブルは、基本的には何もないところからは生まれません。古くは、オランダのチューリップバブル(1637年)や、バブルの語源となったイギリスの南海バブル(1720年)などで、何もないところからバブルが生まれているように見えますが、これとてオランダやイギリスが世界の海上覇権を打ち立てた直後に発生したもので、経済的繁栄とそれに裏打ちされた投資家の自信が背景にあります。

 

1920年代の米国の株式バブルは、世界最大の経済大国として空前の繁栄を極めた時に起こりました。当時の米国の繁栄ぶりは「永遠の繁栄」といわれて、多くの人は全く新しい時代が到来したと確信していたのです。1980年代の日本のバブルは、不動産の右肩上がり神話とともに、ジャパン・アズ・ナンバーワンといわれた経済的な成功を背景にしていました。


バブルは通常、実体経済に起きた構造変化や、革新的な出来事を背景に生まれます。多くの場合、それは将来を予測するという市場の合理的機能から始まります。しかし、たとえ正当な理由のある相場上昇でも、それが続くと相場にはある別のメカニズムが生まれます。

 

力強い相場上昇局面では少なからぬ投資家が儲けを出します。彼らは、本当はたまたま買うタイミングが良かっただけなのかもしれませんが、自分たちでは「新しい相場の流れを予見した」と思い、自信を強めます。この段階で儲けにありつけなかった投資家たちも、周囲に新時代の到来を予測して大儲けした(と考えられている)投資家がいますので、彼らにあやかろうと続々と参入してきます。こうして、強い上昇トレンドが新たな投資家の参入を招き、それが次なる相場上昇を生み出す原動力となります。

 

こうした動きが続くと、やがてこれまで投資に関心を持たなかった人たちまでもが、「投資をしないとこの一大イベントに乗り遅れ、大儲けのチャンスを逸してしまう」という欲望とも焦りともつかない感情に支配されるようになります。まさに買いが買いを呼ぶ展開です。こうしたメカニズムに一度スイッチが入ると、ファンダメンタルズの裏付けが失われたとしても、相場上昇が次の相場上昇の推進力になりますので、放っておいても相場は上昇し続けることになります。

 

一般に、こうしたメカニズムにスイッチが入るケースでは、緩和的な金融政策が大きな後押しとなることが多いように思われます。伝統的な金融政策は一般物価に反応して政策が決定されますが、バブル期には一般物価は比較的安定していて、資産価格だけが上昇することが多いので、金融政策はなかなか引き締められず、これがバブルを助長する結果となるのです。

 

さて、こうした持続的な相場上昇は、証券会社など金融機関にとっても大きな稼ぎ時です。彼らは新時代の到来を宣言し、高名なアナリストたちが強気の予想を競うようになります。予想は強気であればあるほど、投資家に喜ばれ、それが証券会社の販売成績にも結び付くので、次第に相場予想はとてつもないほどに強気なものになっていきます。あちこちに相場長者が生まれ、マスコミが大々的に「まだ株価は二倍、三倍になる」などと囃すようになると、もはや靴磨きの少年ですら相場に無関心ではいられません。

 

しかし、投資する資産をほとんどもたない靴磨きの少年は、相場に参入する最後の投資家層といえます。もっと資産に余裕があり、投資に興味がある人たちは、恐らくすでに株式を買えるだけ買ってしまっていることでしょう。靴磨きの少年がなけなしのお金を相場に投入するとき、それはもはや市場に流れ込む新しい資金がほとんどないことを意味しますので、それがバブルの終焉を飾るエピローグとなるのです。

 

しかしそのとき、世界は一点の曇りのない楽観論と幸福感に支配されています。悲観的なアナリストはすでに職を追われ、バブルの崩壊を予言してきた投資家は止まらない相場上昇の中で淘汰され、姿を消しています。市場に生き残っているのは強気の楽観論者ばかりです。だからこそ、後で見ると明らかにバブルはバブルとわかるのに、現実には「バブルは崩壊してみないとわからない」ということになってしまうのです。


次回も、少し視点を変えてバブルの話を続けます。

 

 

(つづく)

 

 

 

 

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