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田渕直也のトレーディング・テキストブック(13)

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第13回 2013年ノーベル経済学賞の意義

 

今回は、ちょっと番外編ということで、先日発表された本年度のノーベル経済学賞についてお話をしたいと思います。
メディアでも紹介されていますが、受賞者の一人、シカゴ大のユージン・ファーマ教授は、このコラムでもしばしば取り上げている「効率的市場仮説」の提唱者です。単に理論を提示しただけでなく、実証分析による裏付けも行いました。このコラムで「効率的市場仮説」が少なからず成り立っているように見えるという趣旨の記述を何回かしていますが、これがまさにファーマ教授の主張しているところのものです。ファーマ教授の説は、今では世界の経済学界の標準的な理論であり、もっと早くにノーベル賞を受賞していてもおかしくはなかったでしょう。

 

同じくシカゴ大のラース・ハンセン教授は、金融理論の実証分析にも頻繁に用いられる「一般化モーメント法」の開発者で、さらに実証分析を進めて「必ずしも効率的市場仮説が成り立たないケースがある」ということを見出しました。これが、効率的市場仮説は完全には成り立っていないという当コラムの記述に相当する部分です。

 

エール大学、ロバート・シラー教授は、2000年代の米住宅バブルに警鐘を鳴らしたことで有名ですが、ファーマ教授とは立場が正反対で、投資家心理の偏りや人間の認識の限界によって、市場は合理性から逸脱することがあると説きました。当コラムのこれからのメインテーマの一つである行動ファイナンスの主唱者の一人です。さらにシラー教授は、相場の長期的な予測が部分的には可能であることも示しました。これは、まさに当コラムが現在扱っている長期的な予測の可能性に符合するものです。

 

3人の立場はそれぞれ異なりますが、これらを合わせると、市場は大体において効率的だが、人間心理の偏りによって効率的とは言えない部分もあり、そこに相場に勝つヒントがあるという当コラムの基本概念に重なってくるように思います。


なんだ、このコラムは3教授の受け売りか、と言われそうですが、私は実務者なので、もともとは自らの実務経験をもとに相場に対する考え方を築いてきました。幸か不幸か、私の市場観、相場観は必ずしも私だけの独創的なものでも、また突飛なものでもなかったようで、3教授をはじめとする研究者たちの言葉や研究結果を利用させていただくことによって、ある程度は説明が可能であると考えている次第なのです。

 

というわけで、このコラムを書いているときに3教授の共同受賞があったことは、とても感慨深いものを感じます。もちろん、このコラムはあくまでも私自身の考えを述べるものなので、立派な学者先生の研究に裏付けられていない独自の考え方も多く含まれています。ですが、大枠においては、彼らが示した内容から大きく逸脱するものではないと自負しています。突飛な独自理論ではないという点はぜひご安心いただいて、これからも引き続きお付き合いをお願いしたいと思います。

 

今回は少し話が横道にそれてしまいましたが、次回からは再び市場の長期予測の可能性を探っていきたいと思います。


 (つづく)

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