「ブーメラン投資戦法」で、究極のペアトレード

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(注)「ブーメラン投資戦法」とは、シグマインベストメントスクール学長の考案による、ペアトレード手法の名称です。 

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田渕直也のトレーディング・テキストブック(12)

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第12回 短期と長期はどちらが予測しやすい?

今回は、長期的トレードについて少し考えてみましょう。前回、理屈の上では、フラクタル性により短期と長期で市場の動きに本質的な差がないと考えられていることを、サラッと書きました。でも本当は少し違うんじゃないかというのが今日のテーマです。


一般に、短期的な予測のほうが、長期的な予測よりも簡単であると考えられています。「明日のこともわからないで、10年後のことなんてわかるか」というわけです。確かに、長期になればなるほど不確実な要素が増えてくるので、予測の精度は下がっていくはずです。ところが、「明日市場がどう動くかを予測するのは博打と同じだが、10年後に何が起きているかについては合理的な予測が可能な部分がある」と考える人たちがいます。かのウォーレン・バフェットもその一人です。


市場は、完全に合理的ではないものの、裏をかいて利益を上げることが極めて難しいという意味ではかなり効率的であるということを以前に書きました。しかし、市場の効率性は、実際にはかなり短期的なものと考えられます。


たとえば株式市場では、1~2期先の業績予想が株価に大きく影響します。たまたま今季の予想業績が大幅に改善するからといって、それが10年後につながるものなのかは別問題ですが、実際には現在の業績動向が過大に評価される傾向があるのです。

(以下、ちょっと数式を登場させますので悪しからず)株価Pを理屈でちょっと簡便に表現すると、


 P=1年後の利益/(1+r+p)+2年後の利益/〖(1+r+p)〗^2 +・・+n年後の利益/〖(1+r+p)〗^n +・・


こんな感じであらわされます。rは国債などの安全資産の利回り(リスクフリーレートといわれる)で、pはそれに上乗せされるリスクプレミアムと呼ばれるものです。利益と簡単に書いてあるところは、一株当たりの当期利益(EPS)です。これをさらに簡単にまとめると、


P=今の利益/(r+p-g)


となります。新しく登場したgは、将来の平均期待利益成長率です。rとpがそんなに変化しないと仮定すると、株価はもっぱらgによって変動することになります。


以上からわかることは、(ここからは数式を忘れていただいて結構です)株価は、長期にわたる期待利益成長率の水準によって決まってくるというのが、株価理論の基本的な概念ということです。ところが、gは本来、長期わたる期待利益率の平均のはずなのに、実際には足元の(短期的な)業績動向におおきく引きずられるのです。


長期金利(国債の利回りなど)でも同じことが言えます。詳しくは説明しませんが、期間10年の長期金利の水準は、理屈の上では今後10年の短期金利の予想の平均になります。短期金利は金融政策に大きく影響されるので、今後10年間の金融政策の予想によって決まるといってもいいでしょう。しかし実際の長期金利の水準には、長期にわたる予想の平均というよりも、足元の金融政策の動向が過大に反映されます。日銀総裁やFRB議長の足元の金融政策に関する片言隻句に債券市場が一喜一憂している姿はまさにそのことを物語っています。


ちょっとこまごました話を続けてしまいましたが、要点は、市場は短期的な要因に大きく影響されすぎていて、長期的な要因をあまり大きくは捉えていないということです。ですから、短期的に見れば効率的に見えたとしても、必ずしも長期的に効率的とまではいえません。ここに、合理的な長期的予測と、それを元にした投資収益の獲得が可能になる可能性が秘められています。


次回以降、こうした考え方に基づく長期的トレードのいくつかの事例を考えていくことにしましょう。

 

(つづく)
 

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