第34回 トレーディングの収益源の探究~田渕直也のトレーディング・テキストブック~
第34回 トレーディングの収益源の探究
ここまで、相場のトレンドを追うことを前提として、トレードに不可欠なディシプリンについてみてきました。ここからは、トレードの収益源は何なのか、それを得るためにどのような手法があるのかを改めてみていきたいと思います。中には個人投資家では追及することが難しいものも含まれますが、個人投資家に何ができて、何ができないのかを明らかにする点からも、一度網羅的に考えておきたいと思います。
ランダムでないトレンドについては、すでに折に触れて、相場にはトレンドの行き過ぎと揺り戻しが起きることに言及してきました。これを源として収益を得るためには、トレンドフォロー(順張り)とコントラリアン(逆張り)の二つの相反する手法があり、一般的にはトレンドフォローの方が望ましいことも述べてきました。
それでは、このランダムでないトレンド以外に何がトレードの収益源となるのでしょうか。ここで収益源といっているのは、単なる博打ではなくて、合理的にプラスの期待リターンを得ることができるものを指しています。市場が完全に効率的ならこうした収益源はそもそも存在しないので、この課題は、市場における非合理性はどこに存在しているのかという問題に置き換えることができます。
資本規制が厳しく課されていたり、多くの投資家が参入できない市場では、もともと効率的市場が成立する条件が欠けていますので、市場は効率的にはなりえません。しかし、そもそもそういう市場に参入すること自体が難しいので、ここではそうしたケースを除き、一般的な株式市場や為替市場を前提に話を進めます。
まず結論から示したいと思いますが、トレードの収益源として考えられるものとしては、おおむね、以下のようなものが考えられます。
ランダムでないトレンド(既述)
リスクプレミアム
異なる市場、証券間の相対的ミスプライス
イベント時の瞬間的ミスプライス
長期的な非合理性
二番目以降の内容について、次回以降で詳しく触れていきます。