第33回 適切なポジション量の調整 (その2) ~田渕直也のトレーディング・テキストブック~
第33回 適切なポジション量の調整(その2)
いかなるスタイルのトレードでも、どのような動きに賭けるのかという点は明確になっているべきです。(テクニカルな観点から)短期的な値上がりに賭けるのか、腰を据えて中長期的な値上がりに賭けるのかということが明確でないと、トレードのやり方も固まらないからです。そして、いかなるスタイルのトレードでも、賭けている相場の動きについて、読みが当たらなかったときはロスを最小限に抑えることを心掛け、読みが当たった時はしっかりと収益を上げることが重要です。こうしたトレードの目的を貫徹するために、適切なポジションの量というものがあるのです。
たとえばバフェットの投資スタイルは極めてタイムスパンが長いものですが、この場合は、ポジションのスケーリングも非常に長期的なものになります。バフェット的な投資では、何かの要因で大きく相場が下がった時は、ポジションを積み増す大きなチャンスと捉えます。しかし、そうしたタイミングを捉えてポジションを積み増すためには、最初からパンパンにポジションをとっていては実現できません。
究極のポジション・スケーリングの例としては、ドルコスト平均法があります。一定の間隔(毎月とか)で一定の金額を投じて、ある証券(株価指数連動投信など)を買い増していくという手法です。中長期的な値動きに賭けるのであれば、タイミングを狙って一気に投資するよりも、ドルコスト平均法のようにタイミングをずらして少しずつポジションを積み増していく方が概してパフォーマンスは良くなります。
このようにトレードの目的に照らして、どのくらいのポジションの量が適切か、その適切なポジション量をどの段階でどのようにして積み上げていくのか、あるいは積み上げたポジションをどの段階でどのように減らしていくかは、トレードにおける重要な要素の一つです。そして、このポジション量の調節も、実際にポジションを持ってしまうといろいろな要素に惑わされて、どのくらいが適切なポジションなのかが分からなくなってしまいがちです。ですから、自分なりのルールを定めるとか、トレードを始めるときに計画を立ててそれをメモに残しておくとか、規律を持って臨むことが重要なのです。