第29回 ロスカットの必要性を再確認する ~田渕直也のトレーディング・テキストブック(29)~
第29回 ロスカットの必要性を再確認する
トレード・ディシプリンの根幹をなすものは、何と言ってもロスカットです。ロスカットの重要性は誰しもが認識しているところだと思いますが、実際にはロスカットはとても難しい課題です。
ロスカットしなければいけないと教えられて実際に行ってみると、ちょこちょこ損切りを迫られて勝率が大きく下がったり、あるいはロスカットしたところが相場の底でその後に相場が急反発したりというのはよくあることです。
ちなみに、マルチンゲールという必勝法とされている手法があります(もともとは賭け事の用語です)。たとえば株を買って、下がってしまったらさらに買い増していくのです。いわゆるナンピンですね。これを続けていくといつかは相場が反発し、その時にはポジションが大きくなっているのでそれまでの累積損を吹き飛ばし、必ず収益がプラスになるときが来るというものです。
これは、絶対に紙屑にはならない証券を対象に無限にナンピンを続けられるという前提においては確かに必勝法です。しかし、株であれば企業が破たんして紙くずになってしまうこともあります。それ以前に、長い下落トレンドが続くと資金が枯渇して、大損をしているところでポジションをクローズしなければならない事態に陥る可能性がどうしても残ります。
つまり、マルチンゲールは、勝率を高める代わりに、破滅的な損失を被る危険を負うという戦法なのです。このコーナーの最初の方で述べたことですが、投資は勝率を競うゲームではありません。マルチンゲールは確かに勝率を引き上げてくれますが、期待リターンを引き上げることにはなりません。
実際のところ、トレードの勝率はある程度コントロールすることが可能です。トレードの期待リターンを一定として、儲けるときは少しずつ儲けて、損をするときは大きく損をするという手法を選べば、たいていの場合は勝率が上がります。でも期待リターンを上げない限り、こうしたやり方ではいつかは破滅を招くことになってしまいます。(そして、放っておくとそのようなやり方を選んでしまうのが人間心理なのでしたね。)
だからこそ、たとえ勝率を引き下げることになるとしても、損切りはしなければいけないのです。というより、勝率という概念は頭の中から一掃するくらいでなければなりません。
さて、ロスカットの必要性を改めて確認しましたが、それでもロスカットには技術的なむずかしさが付きまといます。相場は、どんなに明確なトレンドの中にあるときでも、多少の上げ下げが付き物です。それらにいちいち引っかかっていては、トレンドに乗って存分に儲けることはできません。かといって、ロスカットラインを大きくとりすぎれば、大きく損をするのを防ぐというロスカット本来の役目を果たすことができません。トレードの長期的パフォーマンスを引き上げるためには、相場を当てることに汲々とするよりも、こうしたロスカットのテクニックを磨くことの方がはるかに重要なポイントなのです。
ロスカットのテクニックを磨くにはある程度の経験や試行錯誤が必要だと思いますが、何よりも重要なのは、レバレッジとトレードのタイムスパンによってロスカットのやり方が決まってくるという原則です。次回はその点を見ていくことにします。
(つづく)
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