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偶然の中から法則を見つけ出す~ 田渕直也のトレーディング・テキストブック(25)~

 

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第25回 偶然の中から法則を見つけ出す


前回も述べたように、物事の間に因果関係を見つけ出し、それらしいストーリーを紡ぎあげるのは人間に備わった特徴的な能力の一つです。この能力によって作り出されるストーリーは、相場を形作る基本的な要因といっていいでしょう。あの会社は経営者の能力が秀でているので、これからも成長を続けるはずだとか、アベノミクスで日本経済はデフレを脱却し、新たな成長ステージへと入るに違いないというようなストーリーです。ただし、カーネマンによると、こうしたストーリーの大半は、錯誤や思い込みから生まれるということになります。


人間の特殊な能力は、たとえば完全にランダムな事象からでも法則やトレンドをひねり出すことができます。しかし、ここでひねり出された法則やトレンドというのは全くの錯覚にすぎません。
たとえば、下のグラフはいかにもありそうな相場の動きに見えます。下値を切り上げて底堅く推移し、抵抗線である105レベルを破ったところです。株価でいえば、アベノミクスの影響か、あるいは優れた経営戦略が次第に評価されてきて、企業への評価が次第に高まっているというストーリーが描けます。当然、この後、上昇トレンドは強まっていくと予想するのが自然です。
 
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ですが、これはコンピュータ上でランダムなシミュレーションによって作り出した仮想のグラフなのです。あくまでもランダムなものなので、そこにはストーリーもトレンドも存在しません。このようにランダムな動きは、人間の目に映るとランダムには見えず、そこに何らかの法則が働いているように見えてしまいます。ちなみに、上のグラフは何度も試してそれらしいものを抽出したわけではありません。公平を期すためにシミュレーションの一発目のグラフを載せています。シミュレーションを繰り返すと、もっとくっきりとトレンドが浮かび上がったり、ヘッド・アンド・ショルダーのようなチャートパターンが出現することもあります。


これもカーネマンが指摘していることなのですが(このあたりは受け売りばかりで恐縮です)、人はそれが錯視だと理解した後でも、以前としてそこに何らかの法則やストーリーが存在するように感じます。さらにいえば、「これはランダムな動きで、そこにストーリーはない」という説明をそもそも受け入れることができません。たとえば企業の成功には経営者の能力以外に様々な要因が絡んでいて、経営者の能力が高い⇒企業が成功する、という確率は人が感じるほど高くはなりません。しかし、人は「成功した企業の経営者は能力が高いはずだ」という思い込みから、「経営者の能力が高い企業は成功する」というストーリーを作りだします。


このプロセスによって、何らかの要因で(たとえばたまたま)成功した企業に対しては、経営者が優れているはずだからその経営者がいる限り企業は成長するという予測を立てがちになります。
世の中がすべて偶然でできていると言おうとしているのではありません。ただ、人は偶然を偶然としては見ない性質が備わっているので、つねに偶然の影響を過小評価し、偶然の中にもストーリーを作り出すということなのです。そして、そのストーリーが納得しやすいものであればあるほど、そのストーリーが多くの人の行動に影響を与え、やがてその幻想は現実になっていきます。こうして、ランダムな動きの中から、ランダムではない真のトレンドが生み出されていきます。

 

(次回に続く)

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