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二つの思考プロセス  ~田渕直也のトレーディング・テキストブック(23)~

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第23回 二つの思考プロセス


人間には、物ごとを合理的に考える能力がある一方で、非合理的な思い込みやパターン化された思考にとらわれることがあります。これを、ダニエル・カーネマンは、二つの思考システムとして説明しています。

 

システム1(ファスト思考システム)は、直感的で、ある出来事と別の出来事の間に(勝手に)因果関係を見つけ出し、即座にわかりやすいストーリーを(勝手に)紡ぎだし、自信たっぷりに(勝手に)結論を導き出します。他方のシステム2(スロー思考システム)は、じっくりと時間をかけて合理的で客観的な思考を担当し、物事を懐疑的に見つめなおします。


人間の、そしてそれ以外の生物の日常はシステム1に大きく依存しています。これなくして、自然界を生き抜くことは出来ないでしょう。進化の歴史を生き抜くためには、瞬間的に(たとえ合理的でなくても)物事を判断することが必要だからです。一方で、人間を特色づけるシステム2は、起動に時間がかかり、大変なエネルギーを消費します。カーネマンによれば、このシステム2は怠慢で、多くの場合(特にプレッシャーがかかる場合に)システム1の判断を鵜呑みにしたり、それを正当化することで済ませようとします。


市場における相場変動は、一瞬で局面が変わりうるという点で、人間が進化の過程を生き抜いてきた自然界に似ています。そこでは、直感的に物事を判断することが求められるのです。直感的に物事を判断するうえで、思い込みやパターン化された思考のプロセスは、すぐに結論を導き出せるという点でとても有用です。ただし、思い込みやパターン化された思考は、結論を急ぐあまり、合理的とは言えない考え方をしたり、偏った結論を出すことにつながりかねません。市場の非合理性は、この人間の直感的な思考プロセスの産物といっていいでしょう。


もちろん、人間には時間と労力をかけて論理的に思考し、客観的に物事を見つめる能力も備わっています。この能力を使えば、市場がいかに合理的に正当化されうる水準を逸脱しているかを判定することもできます。ところが、自分自身で投資を行っている場合や、周囲が熱狂に駆り立てられているとき、システム2はそのプレッシャーでエネルギーを浪費してしまい、自らの役割を放棄してシステム1の結論をそれらしく説明づけて取り入れてしまうのです。このために、はたから見ているときには合理的で客観的な思考ができるのに、自分でポジションを持ったり、バブルが社会現象となっているときには合理的で客観的な思考ができなくなります。これが、「見るのとやるのとでは大違い」という投資の性質を形作るわけです。


経済学や投資理論をいかに勉強したところで、こうした人間の心理的構造を理解しなければ、投資の世界で成功を収めることは難しいでしょう。

 

 


 

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