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田渕直也のトレーディング・テキストブック(21)

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第21回 損切りと利食いをどのように考えるべきか


ここまでの話でかなり明らかになってきたと思いますが、損切りの重要性は、
(1)相場のトレンドは人が思うよりも大きく長く続き、
(2)しかも人は損失を抱えると塩漬けにしやすい

というところから生まれてきます。長くトレードを続けるためには、大きな損失は避けなければなりません。レバレッジをかけていれば投資資金を簡単に吹き飛ばしてしまうかもしれませんし、そうならなくても大きな損失は心理的な打撃となっていつまでも残ります。逆に、一つのトレードでうまくいかなくても、大きな損失さえ出さなければ再びチャンスをつかむことが可能です。そのことを思えば、損失を抑えることは、利益を上げること以上に重要だと言えます。
損切りはそれほど大切なものですが、実際の損切には常に難しさが付きまといます。ただ杓子定規に損切りをしさえすればいいというものではありません。


損切りの必要性は、投資のスタイルやレバレッジの掛け具合によって左右されます。たとえば、長期投資で有名なバフェットは基本的に損切りをしません。バフェットの運用手法は、運用資産が巨大化するにつれて幾分変化が見られますが、元々の運用手法は優良企業の株を割安で買ってそのまま保有し続けるというものです。保有銘柄の下値リスクはある程度限定されており、投資期間は長期で、しかもレバレッジは掛けません。多少の短期的損失には目をつぶることができるから損切りをしないのです。


ただし、バフェットが損切りをしないからといって損切りは必要ないということにはなりません。損切りをしないで良いのは極めて限られたケースのみであり、原則として長期投資だろうと損切りは必要です。でも、長期投資で厳格に損切りをしていると、ちょこちょこ損切りばかりして、長期投資の目的に沿わない結果になってしまう可能性が高くなります。長期投資では損切りはかなり緩やかに考える必要があり、そのかわり損失が膨れ上がらないようにレバレッジは低く抑えるというのが基本となります。あくまでも、損切りと投資スタイルとレバレッジは一組み合わせのものであり、ばらばらに考えても意味はないのです。ですから、たとえば、レバレッジをかけて短期的な値上がりを狙う場合はより厳格な損切りが求められるということになります。


でも本当に厄介なのは、実際に損失を抱えると、投資目的やスタイル、そして損切りのレベルが当初の意図から変化してしまうというところにあります。最初は短期的な値上がりを狙って投資を行ったのに、うまくいかなくなるといつの間にか長期投資にすり替わり、「いつかは上がるだろう」と塩漬けを正当化してしまったりするのです。トレーディングを深く理解するには、このあたりの心理的側面をもう少し詳しく見ていく必要がありそうです。


さて、もう一つ、大きなトレンドで利益を十分に上げられないという点にも簡単に触れておきます。この点については、トレンドを取りに行くようなトレードの場合、相場がいくらになったから利食うというようなターゲットを決めた利食いはあまりお勧めできないということになります。予想を超える大きなトレンドを捉えるには、相場が上がっている間は持ち続けることが必要です。簡単に言えば、「指値(リミット)で利食ってはいけない」ということになります。ただし、これも杓子定規にそうすればいいというものではありません。どの程度の利益を上げれば十分といえるかは投資スタイルにも左右されますし、実際にポジションを保有しているときの心理的状態も考慮する必要があります。


ということで、とりあえず現時点ではなんとなくの結論にとどめておいて、次回以降ではもう少し投資家の心理を深く掘り下げていくことにしたいと思います。

 

(つづく)

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