「ブーメラン投資戦法」で、究極のペアトレード

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(注)「ブーメラン投資戦法」とは、シグマインベストメントスクール学長の考案による、ペアトレード手法の名称です。 

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田渕直也のトレーディング・テキストブック(3)

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マーケットの予測能力


前回、マーケットではプロのファンドマネージャーの成績は必ずしも良くはなく、
それは効率的市場仮説が示唆する通りであることを見てきました。その通りだとすると、市場には現在分析が可能な情報がすべて織り込まれているので、市場を出し抜くことができないということになります。実際に、市場がいち早く将来のことを正しく予測していることを示唆する証拠はいくらでもあります。


下のグラフはパナソニックの株価です。矢印をつけたところが2期連続で大幅赤字決算を発表した時点です。株価は、正式な発表よりもかなり以前から大幅赤字を見込んでいたといえるでしょう。もちろん、企業は4半期ごとに業績を発表していますし、アナリストたちもだいぶ前からパナソニックの業績悪化を予測し始めています。しかし、株価は、リーマンショックの影響を除いても2010年初から、多くのアナリストが警報を出すよりもかなり早くから下がり始め、しかもほぼ一直線に下がっていることから見て、業績の悪化度合いをかなり正確に予測していたといえます。

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さらに言えば、パナソニックは現在業績が回復傾向にありますが、2期目の巨額損失が発表されるよりほぼ半年ほど早い時期から株価は反発し始めていて、これまた正確かつ迅速に将来を予測しているように見えます。


あるいは、中国では2010年まで高成長が続き、2011年ごろからやや減速をし始め、そのあとになって中国経済の成長の限界や様々な課題が表面化してきますが、上海市場の株価は2010年以降ほぼ一直線で下落を続けました。上海市場は、先進国の市場に比べると成熟度が低い市場だと考えられていますが、それでもどんなアナリストよりも早く中国経済の変調を感知していたように見えます。

 

フセイン逮捕まで予測?


マーケットの予知能力の高さは、欧米の研究では以前からよく知られています。有名なのがアイオワ電子市場(IEM)に代表される予測市場です。
IEMはアイオワ大学が市場の予測能力を実証するために開設した電子市場で、主に大統領選挙でどの候補者が勝つかといった取引を扱っています。
IEMは20年ほどの歴史を誇っていますが、その予測精度はほぼ一貫して一般的な世論調査を大きく上回る水準となっています。大統領選挙は日本でも様々に報道されますが、どれだけ情報を集めて分析するよりも、IEMの価格動向を見るだけで最も精度の高い情報が得られるのです。
IEMの成功を受けて、1999年にはアイルランドにイントレードという予測市場が発足しています。イントレードはさらに様々なイベントの予測を取引できるようになっています。過去にはサダム・フセインが逮捕されるかどうかを予測する取引まであり、その市場価格が急上昇した数日後に本当にフセインが拘束されるということまでありました。それがたまたまだったのか、何らかのインサイダー的な情報が流れたのかわかりませんが、テレビ解説に登場する高名な軍事評論家や国際情勢の専門家が予測できなかったことを市場が予測したのは確かなことのようです。(公平を期すと、ウサマ・ビン・ラディンの場合にも同じような取引が行われていましたが、このときは市場が先駆けて反応することはありませんでした。)

 

(次回に続きます)

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